気付いたこと

頭がおかしくなって5日間の休みをもらった。妻に事情を話した。

 

キャンプに出掛けた、山の上にあるキャンプ場で何も考えずに過ごそうと思った。
設営が終わったら簡単に作れるワンポットパスタを作った。マズかった。
焚き火を眺めた。明朝から降り出すはずの雨は夜からは降って来た。テントに水が弾く、漏れないといいなと思った。夜中に寒くて風邪をひいたのか、頭が痛くなってきてロキソニンを飲んでパーカーを着た。すぐに良くなって、気付いたら寝てた。0時頃だった。
一度も起きずに8時に起きた、風邪じゃなくて一安心したが完全に寝坊だ。キャンプは早起きでなければいけない。
雨はまだシトシト降っている。お湯を沸かしてコーヒーを作る。飲みながら撤収を考えた。雨の日は大変だ、すべてが濡れて泥だらけになる。
気が重いなと考えてたら「パーティーの後片付けは大変な方がいいよ、朝起きて普段と変わらない風景だったら寂しいでしょ」と岡田将生が言ってた言葉を思い出した。本当にその通りだ。こんなに今の自分に刺さる言葉がほかにあるのか。気持ちが楽になった。

 

撤収し、ナビに自宅を設定して走り出したがいつもと違う道を案内し始めた。
何度もここには来てるがこんな道を案内されたことはなかった。少しずつ道が細くなり、とうとう車一台しか通れない山道になった。
いつもなら引き返すところだけど、今日はどうにでもなれと進んだ。車に枝やツタがぶつかる。少しハンドル操作を間違えれば右側の谷に落ちそうだった。ゆっくり進んだ。
10分も道なき道を走らせたら道が開けた。
山の斜面に牧草地がずーーーーっと広がっていた、草や木の良い匂いがする。
モヤモヤがすっと晴れた。その後は木漏れ日の道が続いていた。素敵な道だった。

 

俺はできるだけ近道をしようと思って生きて来たんだろう。おかげで要領はよくなったが、めんどくさいことを嫌い、横を見れば好きな景色が広がっているのに気付かなかったんだ。

 

いつか、日光東照宮で「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず」という立て看板を見た。たしか徳川家康の言葉だ。感心した覚えがある。
あの時に気付いていたはずだったのに忘れるもんだ。

今度から寄り道をしようと思う。そこには何かある。


ニーチェが言っていた。何かを知ることは自分を発見することだ。

 

帰ってきて、洗い物をして、テントを干して、片付けをした。岡田将生徳川家康ありがとう。

 

これから昼寝する。